EPISODE.3
あのときの私へ

手を握るイラスト

地元の青森に貢献したくて、県の福祉職に

 漠然と「福祉関連の仕事に就きたい」と考えていた私が、「県職員として福祉に関われる」と知ったのは大学時代。もともと地元で働きたいという思いも強かったことから、青森県職員を志しました。福祉職の中でも児童福祉司を希望したのは、大学のボランティア活動でひとり親世帯のこどもたちに勉強を教えた経験があったからです。
 こうして自ら選んだ道とはいえ、児童相談所への配属が決まったときは、私に務まるだろうか、自分一人で大丈夫だろうかと不安でいっぱいに。まだ入職前で具体的な仕事内容もわからなかったので、困難を抱えた親子を支援する自分をイメージできずにいました。

子供が走る画像

こどもからの手紙で、迷いや不安が晴れた

 そんな不安を拭えずにいたある日、私は児童相談所に配属になったことを報告しようと、大学4年のときにお手伝いしていたボランティア先へ。そこは、不登校のこどもたちが通う適応指導教室でした。
 顔馴染みのこどもたちに「児童相談所で働くことが決まったよ」と話したとき、その中の一人がそっと手紙をくれたのです。そこには私への感謝の言葉と共に、その子が児童相談所に一時保護された経験が綴られていました。当時の担当職員にあまり自分の意見を言えなかったため、私のように話しやすい人が児童相談所にいたら良かったと。
 初めて明かされた過去に心が痛んだと同時に、「まずは相手の話を聞くことが支援の第一歩なのだ」と気づかせてくれた手紙。他のこどもたちからも応援メッセージを受け取った私は、これから児童相談所で頑張っていこうと、前向きな気持ちでスタートを切ることができました。

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話しやすいと思ってもらえる児童福祉司へ

 実際に働き始めてみると、児童相談所は職員全員で親子の支援方法を決めていくところだとわかり、入職前の不安はすぐに解消されました。困ったときには頼れる人が周りにたくさんいるので、一人で悩むこともありません。現在ではどんな相談でも解決の糸口は必ず見つかると信じていますし、自分の関わりによって親子の状況が改善されることにやりがいを感じています。
 あの手紙をもらってから、気づけば10年以上。仕事でうまくいかないことがあると、今でも手紙を読み返し、励まされています。そして、自分自身を振り返るのです。あの子が私に期待してくれたような、話しやすい児童福祉司になれているだろうか———。この先も親子の心の声に耳を傾け、悩みに寄り添い、一緒に考えていける存在でありたいと思っています。

木々の背景画像