EPISODE.2
一人じゃない。
チームで支える現場
チームで支える現場
家庭内暴力を止めるために、どう向き合っていくか
きっと難航するだろう———。児童相談所に通告があった当初、解決への道のりは険しいと思われたケースでした。身体的・心理的虐待、発達障がい、DVと、複雑な事情が絡み合った相談。しかも私においては、児童福祉司として最初に担当した支援でもありました。
その始まりは、ある母親からの相談でした。こどもは発達障がいの特性が強く、父親から虐待を受けているとのこと。母親も暴力を受けていたため、児童虐待を止められずに苦しんでいたのです。まずは父親にこどもの障がいを受け入れてもらうことが重要ですが、思考の偏りが大きいことから、障がいへの理解や虐待の指導はスムーズにいかないだろうと想定されていました。
チームの連携によって、難しいケースも解決へ
父親は児童相談所や私に対する拒否感が強く、なかなか来所に至りませんでした。指導につながらないことに焦りも感じましたが、それでも前に進めたのは、支援チームの連携があったからです。児童福祉司の先輩をはじめ、児童心理司や嘱託の精神科医、学校や保育施設など、専門家や関係機関が協働して親子を支援できる環境は、相談者にとっても私にとっても心強いものでした。
まずは父親に来所してもらえるよう、児童福祉司の先輩や学校も一緒に介入。児童心理司からはこどもの心理検査の結果を父母に伝え、嘱託医からも障害の特性や関わり方などを説明したところ、父親はこどもの障がいに理解を示してくれるようになりました。私は母親との面接を重ねたり、関係機関との連絡調整を図ったりすることで、チームをサポート。職員同士の情報共有も大切にしながら支援を続けた結果、虐待やDVを止めることができたのです。
児童福祉を支える相談所の一員として、地元に恩返し
相談を受けた当初は不安が強かった母親も、支援が終わる頃には「もう大丈夫」と前を向いていました。こどもと母親が安心して過ごせるようになったと聞き、私も少しは役に立てたかなとうれしい気持ちに。一緒に困難を乗り越えた支援チームのみんなとも、喜びを分かち合いました。
支援中の難しい場面でも、「一人で抱え込まなくていいんだ」と思わせてくれるチームの存在。大変なこともうれしいことも共有できる安心感があるから、私は自信を持ってケースワークを進めることができます。入職して4年目を迎えた今でも失敗や悩みは尽きないけれど、その度に励ましてもらったり、アドバイスをもらったり…。これまで多くの人に助けてもらった分、今後は私がチームや相談者の支えとなって、生まれ育った青森県に恩返ししたいです。